高齢の親を詐欺被害から守るための家族信託

今回のご相談者は50代のA子さん。

一人暮らしの高齢者がオレオレ詐欺などの被害にあうというニュースを見るたびにハラハラしていたところ、「お母さんが銀行の窓口で多額の現金を出金しようとしているのですが、状況を確認させてもらいたい。」と警察から電話がかかってきたのだそうです。

お母さんが多額の現金を出金しようとした理由

A子さんが慌てて銀行に駆けつけると、お母さんは銀行の担当者と警察の方に囲まれて別室でちょこんと座っていました。

銀行の担当者の話によると、どうやらお母さんは窓口で500万円をおろそうとしていたのだそうです。

その訳をお母さんに聞くと、

  • ・銀行の窓口が家の近くになくなったので、家の近くのコンビニでお金をおろそうとしたが、ATMの使い方がわからずおろせなかった。
  • ・最近膝が痛くて駅前の銀行まで歩くのが大変なので、まとまったお金を手元に置いておこうと思った。

という理由でした。

お母さんがオレオレ詐欺にあっているのではないとわかり、一安心したA子さん。

しかし、事前に電話をしてから家に置いてある現金をとりにくるアポ電詐欺が高齢者詐欺の手口として増えていることもあり、500万円もの大金を家に置いておくのは危険です。

ひとまず10万円だけおろして、家に帰ることにしました。

A子さんの心配事と「防サギ」対策

今回の騒動で、いよいよ高齢のお母さんのお金の出し入れについての対策をが必要だと思いました。

そこでA子さんは、「高齢者詐欺」への対策として

  • ・キャッシュカードの振込や出金限度額を低く設定しておく
  • ・生活費用の普通預金口座の残高を少なくしておく
  • ・家にまとまった現金を置かないようにする

と決めました。

そして、膝が痛くて銀行の窓口まで行けない、ATMが苦手というお母さんのために

  • ・生活費の支払いなどを、自動引き落としにしておく
  • ・A子さんが月に1度、お母さんの代わりにお金をおろして届ける

ことにしました。

月に1度お母さんにお金を届けることは、お母さんの体調の変化の見守りにもなります。

しかしこれだけでは、万が一お母さんが認知症になってしまった後や、まとまったお金が必要になった時にお金をおろすことができないため、A子さんとお母さんは家族信託をしておくことにしました。

ATMが苦手なお母さんとA子さんの家族信託

家族信託契約

委託者(財産を托す人)   :お母さん

受託者(財産を託される人) :A子さん

受益者(信託の利益を得る人):お母さん

信託財産(預ける財産)   :①自宅、②預貯金500万円

信託の目的  :お母さんの安心な老後の生活の実現

受託者の権限 :お母さんの生活費、介護・医療費の支払い、実家の管理・売却・売却代金の管理

信託終了時  :お母さんが他界時。全ての財産を換金してA子さんへ引き継ぐ  

 

家族信託の結果とメリット

①お母さんが手元に置いておこうとしていた500万円を安全に保管できる。

②お母さんに大きなお金が必要になった場合も、A子さんがお金を届けてあげられる。

③お母さんが認知症になった後も、資産が凍結することなく、A子さんが契約内容にしたがって財産管理をすることができる。

④お母さんが施設へ入居して、実家が空き家になった場合、A子さんが実家を売却して介護費用に充てることができる。

⑤A子さんはお母さんの資産を預かっているだけなので、贈与税がかかることはない。

⑥任意後見人や法定後見人と違い、家庭裁判所の関与がないため、月々の費用がかからない。

⑦信託財産の信託終了時の扱いについても契約で定めておけるため、お母さんが他界した時に資産が凍結して葬儀費用が出せなくなることがない。

家族信託の締結で、お母さんが詐欺被害にあうかもしれないという心配や、自分でお金がおろせない心配、認知症になって口座が凍結する心配がなくなり、A子さんもお母さんも安心して生活を送れるようになりました。

高齢の親が心配になったら、防サギ対策にもなる「家族信託」を検討しよう

全国で高齢者の詐欺被害が増加しています。せっかく老後の資金にと貯めておいたお金が詐欺にあっては大変です。

家族信託をしておけば、親の財産を「子どもへの信託口口座」で安産に保管・管理することができます。

さらに、体調の変化や認知症などで銀行の窓口でのお金の出し入れができなくなった親の代わりに、いつでもお金を出し入れしてあげることもできます。

家族信託は、元気な親をやさしく見守ることができる制度です。

親のお金のことが気になりだしたら、家族信託で「今のお金の出し入れ」と「将来のお金の出し入れ」についての対策をスタートしてはいかがでしょうか。

 

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高齢者の詐欺被害について

警察庁によると、平成29年のオレオレ詐欺などの特殊詐欺の被害額は394.7億円。中でも高齢者の被害割合は全体の72.5%と非常に高くなっていることから、注意喚起の呼びかけCMなども制作され、被害を水際で防ぐための取り組みが強化されています。

各金融機関は、高額の取引をする高齢者には積極的に声掛けをし、使途に疑義がある場合は警察へ通報することもあるそうです。

実際、高齢者支援を専門とする弊所へも「御社のお客さんだという○○さんが銀行の窓口で多額のお金を振り込もうとしている」と、警察から連絡がくる事態も発生しています。

また、70歳以上かつ過去3年間ATMでの取引がないといった、一定の条件に当てはまる高齢者のキャッシュカードでの振込額や、引出額の上限額を設定するといった対策もおこなわれています。

しかし、そこまでしても被害が減らないほど、詐欺犯罪の手口は巧妙化しています。

高齢者の詐欺被害は他人事ではありません。早めに対策しておくことをオススメします。

 

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