両親に家族信託を言い出すタイミング

パート先で「親の介護」や「認知症」の話題が多くなり、いろいろ調べて家族信託のことを知りました。

両親は76歳と75歳。夫婦二人で旅行が趣味で、あちこち飛び回っています。

万が一のことを考えて家族信託をしたいと思っているのですが、まだまだ若いつもりの両親に家族信託なんてとても言いだせません。

とご相談がありました。

ご家族の状況及び資産状況

ご相談いただいたのはB子さん、48歳。

実家の近くに夫と高校生の子ども2人と4人暮らしをしています。

家族信託事例

自宅(実家):お父さん名義。住宅ローンは完済しており、どちらか一人になったら売却して施設に入りたいと思っている。

倉庫兼ガレージ(お父さんが仕事で使っていた):70歳で仕事を辞めた後もそのまま。そのうち売却したいと思っている。

定期預金:3000万円・・・いざという時のお金。

証券会社:500万円・・・配当や株主優待で旅行に行っている。

普通預金:200万円・・・日々のやりくり用。お母さんが通帳とカードを管理している。 

お父さんが運転免許証を自主返納!?

B子さんが両親の安心な老後のことをあれこれと考えていた時、お父さんが運転免許証を自主返納したとの連絡がありました。

運転免許の更新で認知機能検査を受け、「認知機能が低下している恐れがない」という結果だったのですが、孫たちも大きくなり、みんなで車で出かけることも少なくなったことや、若い頃とは違い、カーブをスムーズに曲がれなくなっていると感じていたようで、自主返納に踏み切ったのだそうです。

実はこの「運転免許証自主返納」時は、家族信託を勧めるのにとても良いタイミングです。

認知機能の低下には、交通事故以外にも、詐欺被害や資産凍結リスクといったお金の事故があることを話すチャンスなのです。

B子さんは、

  • ・万が一両親に何かあったとしても、できる限りお世話をしたいと思っていること
  • ・高校生の子どもが2人いるので、両親の資産が凍結して介護に回せるお金がなくなるのが心配なこと

を伝えました。

※認知機能の低下によってできなくなるお金の管理とは・・・

  • ・銀行でのお金の引き出し、支払いや振込、定期預金の解約
  • ・株や投資信託、外貨預金の売却や監禁
  • ・不動産の売却、修繕、リフォーム、賃貸、管理
  • ・介護や医療、施設の費用などの支払い

 

今まで通りの生活を続けたい両親とB子さんの家族信託

父母娘3人の家族会議の結果、全財産を信託で預かるのではなく、いざという時に凍結したら困る資産をB子さんに家族信託しておくことにしました。

家族信託例

委託者(財産を托す人)   :お父さん

受託者(財産を託される人) :B子さん

受益者(信託の利益を得る人):①お父さん ②お母さん

信託財産(預ける財産)   :①今住んでいる自宅 ②倉庫 ③定期預金3000万円のうち満期になった1000万円

信託の目的  :両親の安心な老後の生活の実現

受託者の権限 :実家と倉庫の管理、売却、売却代金の管理、両親の生活・介護・医療費の支払い

信託終了時  :両親が他界時。すべての財産を換金し、B子さんへ引き継ぐ

この契約により、お父さんとお母さんの日常生活は変わらないまま、将来介護費用が不足した時に自宅や倉庫を売却することができるため、B子さんの不安は解消されました。

家族信託の結果

①お母さんは、今まで通りお父さん名義の生活資金口座を管理できる。

②お父さんは、今まで通りお父さん名義の証券会社口座を管理でき、株の売買も続けることができる。

③お父さんは気がすむまで倉庫の片付けができる。

④倉庫が不要になった場合は、B子さんが代わりに売却や賃貸管理ができるので、空き家問題にならない。

⑤両親が認知症になっても、信託財産は凍結しないので、生活費のやりくりに困らない。

⑥お父さんが他界し、お母さんが一人になった後も、B子さんが実家の管理や修繕をすることができるので、ご近所に迷惑がかからない。

⑦お母さんに介護が必要になり施設に入ることになった場合、B子さんが実家を売却して介護費用に充てることができる。

⑧B子さんはお父さんの資産を預かっているだけなので、贈与税がかかることはない。

⑨信託財産の信託終了時(両親とも他界した時)の扱いについてまで契約で定めておけるため、両親が他界した時に資産が凍結して葬儀費用が出せずに困るということがない。

⑩両親とも他界した時に、実家や倉庫が残っていた場合、相続登記をしないでB子さんが現金化できるため、経費が節約できる。

運転免許証の自主返納時が親に家族信託を話す絶好のタイミング

警視庁によると、75歳以上の高齢ドライバーの事故発生件数は75歳未満の運転者と比較して2倍以上だそうです。

テレビや新聞で頻繁に取り上げられる高齢ドライバーによる交通事故のニュースを見て、親に運転免許証の自主返納の話を切り出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな時は、家族信託も一緒に考えられることをオススメします。

お金に関することは家族で話題にしにくいかもしれませんが、「運転免許返納」という心身の安全対策と一緒に話し合うことで、老後を安心して過ごすことができます。

家族信託は、親の財産をすべて取り上げるという制度ではありません。

親が自発的に運転免許の自主返納を考え出した時、あるいは親に運転免許の自主返納を勧める時には、家族信託でお金の安全についても検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

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