収益不動産の継承をスムーズにする「家族信託」
夫は賃貸アパートを経営中です。年齢とともに思うように身体が動かなくなってきたため、最近は細かいことを同居中の長男夫婦に手伝ってもらうことが増えてきました。夫の死後、アパートの経営は長男に引き継ぐ予定ですが、今のうちに対策しておくことはありますか?
というご相談をいただきました。
ご家族の状況
ご相談いただいたのは73歳のB子さん。ご主人は75歳です。
お父さん名義の家で40代の長男夫婦、孫たちと3世代で仲良く暮らしています。
これまで一人で対応していた賃貸アパートの管理ですが、体力の衰えに伴い、力仕事を息子夫婦に手伝ってもらうことが年々増えてきているので、今後のことを考えてきちんと対策をしておきたいというのがB子さんの希望です。
このまま何も対策をしないとどうなる?
今の状態で、もしご主人が急な病気で意識不明になったり認知症になったりすると、長男夫婦が代わりに家賃の回収をしたり補修工事をしたりすることはできません。
認知機能が低下すると、
- ・銀行でのお金の引き出し、支払いや振込、定期預金の解約
- ・株や投資信託、外貨預金の売却や監禁
- ・不動産の売却、修繕、リフォーム、賃貸、管理
- ・介護や医療、施設の費用などの支払い
といったお金の管理ができなくなるのです。
アパートの管理を長男に委託し、収益はご主人が受け取る「家族信託」
B子さんには、ご主人がアパートを信託財産として長男に委託し、収益はご主人が受け取ることができる家族信託を結ぶことをオススメしました。
そうすることで、ご主人にもしものことがあった場合でも長男が滞りなくアパートを管理できますし、収益はご主人が受け取ることができるため、実質的な変化がほぼないのでご主人にとっても抵抗が少ないと思われます。
また、ご主人が亡くなった後は、配偶者であるB子さんが収益を受け取る「第2受益者」として設定することで、B子さんも守られます。
委託者(財産を托す人) :B子さんのご主人
受託者(財産を託される人) :長男
受益者(信託の利益を得る人):①ご主人 ②ご主人さんが他界後はB子さん
信託財産(預ける財産) :①ご主人の経営するアパート
信託の目的 :スムーズな不動産継承
受託者の権限 :アパートの管理、売却、売却代金の管理
信託終了時 :ご主人とB子さんが他界時。すべての財産を換金し、長男へ引き継ぐ
家族信託の結果とメリット
①ご主人の体調の変化や認知症になった後も、長男が契約内容にしたがってアパートを管理することができる。
②ご主人が先に他界した場合、B子さんがアパートの収益を受け取ることができる。
③ご主人が先に他界し、B子さんの在宅介護が難しくなった場合、経営しているアパートを長男が売却して施設の費用や介護費用に充てることができる。
④ご主人が他界した時に、アパートの名義をいったんB子さん名義に変更する費用(相続登記)が節約できる。
⑤長男はご主人の資産を預かっているだけなので、贈与税がかかることはない。
⑥ご主人が他界しても、アパートの収益をお母さんのために使えるため、B子さんも安心して生活が送れる。
収益不動産をお持ちの方は、元気なうちに「家族信託」を検討しよう
今回のB子さんのように、収益不動産の名義人が元気なうちに家族信託を締結することで、不動産の継承がスムーズにおこなえますし、不動産を信託財産として委託することで負担が減り、余生をゆっくりとお過ごしいただけます。
収益不動産をお持ちの方は、元気なうちに信頼できるご家族との家族信託を検討されることをオススメします。
60分無料個別相談では、以下のことが解決できます。
- このまま何もしないとどうなるかのリスクがわかる
- 相続税がかかるかどうかがわかる
- 残された家族の相続トラブルを防ぐ対策がわかる
- 問題解決の為に我が家に必要な手続きがわかる
- 自分でできること、専門家に任せることがわかる
- 家族信託の費用はいくら掛かるのかわかる
- どのようなスケジュールで行うかわかる
- どこから解決するべきかわかる
- いつまでに始めるべきかわかる
- 解決後のイメージがわかる